あの頃の自分 31 [詩のようなもの]
地球の悲鳴
血の色の夕日の下 僕達は笑ってる
今にも垂れてきそうなほど爛れた赤
街の灯が辛うじて支え
夜が来るのを待っている
血の色の夕日の下 僕達は遊んでる
大自然のメッセージにも気づかずに
いや 見て見ぬふりをしながら
闇の中へ逃げてゆく
血の色の夕日の下 僕達はくつろいでる
帝王学が大好きな人間共
自分のわがままを言い訳にして
光を求めて歩き回っている
血の色の夕日の下 僕達は眠ってる
本当はとても怖がりなクセに
お得意の痩せ我慢を体に巻き付けて
朝が来るのを望んでる
血の色の夕日の下 僕達は生きている
自分の蒔いた種だって分かっているのに
毎度毎度のお祭り騒ぎ
恐ろしい夜明けが待っている
91 11/27
雲仙普賢岳の噴火の後でした。
粉塵の影響で、異常に赤黒い夕日を見た時に、
なんとも言えない不安感に襲われました。
そして、今の夕焼けも、この頃と同じ色に見えるのです。
子供の頃に見た鮮やかな赤い夕焼けは、
いったいどこに行ってしまったのでしょうね。
あの頃の自分 30 [詩のようなもの]
さまざまな主張
私の可愛いお人形
綺麗なおべべを着せましょね
あなたは何もしなくていいの
ママが何でもしてあげる
こんなに大事にしてるんだから
ママの言う事をよく聞くのよ
退屈な休日
TVだけが僕の友達
お前のお陰で世の中の出来事がよく分かる
最近 外に出るのも面倒臭くなった
あと半年位たったら 僕は
頭でっかちの石仏のようになっているかもね
すみません、1万円札10枚下さい。
いくらですか? えっ、だって・・・売れない?
そんなバカな! ここはデパートでしょう。
ここにある物は全て商品のはずだ。
今じゃ、夢・自由・人生・人の体や心だって買えるんだ。
お金も買えない訳無いじゃないですか!!
縁日ですくった2匹の金魚
いつの間にか数が増えた
エサが足りなくなってきたので
大切な水草や藻まで食べてしまう
鉢の水は汚れ 息苦しくなって
もうすぐ浮かんでしまうだろうよ
91 8/7 9/20修正
ノートの端に書かれていた散文をかき集めたら、こんなのが出来ました。
当時の淡い思いが、今現在ではよりリアルに感じてしまうのは、
私の思い過ごしなんでしょうか?
現代社会の悪い膿を出し切るには、後どれ位の時間が必要なんでしょう。
あの頃の自分 29 [詩のようなもの]
人恋しくて
僕と踊ってくれませんか?
ほんの一曲でいいんです
難しいステップなんかいらない
音楽に合わせて 一緒に揺れてくれればいいんです
長い間一人でいると
無性に淋しくなる時があるんですよ
別に多くを望んでいる訳じゃない
人の温かさを感じたいだけなんだ
僕と踊ってくれませんか?
一曲だけでいいから
人恋しさのあまりに
貴方に声をかけただけなんです
91 7/15
この頃、夜が怖かったのだ。
仕事が終わって自分の部屋でじっとしていると、
得体の知れない物に飲み込まれてしまいそうで、
目的もなく車を走らせてみたり、必要以上に酒をあおっていた。
30手前の独り者となると、内外からのプレッシャーが降りかかってくる。
きっと、この現実から逃げ出したかったのでしょうね。
あの頃の自分 28 [詩のようなもの]
満月の光の下で
夜空にぽっかり開いた大きな穴
そこから外を覗いてみたい
フラスコの底のささやかな人生
それがここでは当たり前
今の私が知らない神秘の世界
太古の光は何かを語ってくれる
人間の為に作られたルール
全てが思い通りに行くはずはない
だって 私も地球の一部
いくら憎しみ合っていても
ずば抜けた才能があったとしても
汚れた世界では生きていけないのだから
大勢が故郷を守っていくのか
一部が新しい世界に旅立つのか
どちらの道を取ったとしても
苦しい選択には違いない
夜空にぽっかり開いた大きな穴
そこから中を覗いてみたい
何百万年もの果てにやっと実を結んだ
でも食べられない 黄金の果実
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もし、私達が住む地球が「フラスコの中の小さな世界」だったら・・・
そんなSF的な感覚で書いてみました。
自分達の世界を、別の次元で見れたらどんな感じでしょうね。
今のどうしようもない問題が、一気に解決出来るかもしれませんし、
やましい心が働いて、イタズラしたくなるかもしれませんし・・・
あの頃の自分 27 [詩のようなもの]
僕はロボット
僕はテレビを見たい
毎週決まった番組を楽しみにしてる
笑ったり 感動したりしながら
頭の中は真っ白になってゆく
僕は音楽を聴きたい
いつもラジオをつけている
好きな曲やDJのお喋りに耳を傾けながら
頭の中は真っ白になってゆく
僕は遊びたい
本屋でよくマンガ本を立ち読みする
自分の部屋でファミコンをしながら
頭の中は真っ白になってゆく
僕は生きている
色々な事を経験してる
教科書を読んだり 大人の話を聞いたりしながら
頭の中は真っ白になってゆく
僕はロボット
与えられる事しか出来ない
この社会に適応していくように
いつの間にかプログラムされてるんだ
90 11/30
たぶん、自分を含めた多くの若者達が、
心のどこかでこう思っていたかも知れない。
欲しい物が全てある。 苦労や努力しなくても手に入る時代。
強く求めなくても、簡単に自分の物に出来る世界で生きていると、
いつしか受身になってしまうのだろうか?
「物」で周りを埋め尽くしても、満足感は得られない。
今我々が求めているのは、心の平安なのかもしれない。あの頃の自分 26 [詩のようなもの]
1990年4月24日
冷たい額に手を当てて
骨だらけの顔を覗いてみる
痺れる心の中で
呆然とした自分が座ってる
もう ここにはいない
窮屈な体から抜け出して
遠くから 私達を見つめているのでしょう
私は忘れない
一緒に暮らした時間
臨終の衝撃
痩せこけた体の感触
私の過去は 今なくなった
煙突から黒い煙が舞い上がる
私は泣いた
白く赤い骨の熱さ
今は重い墓標の下に
せめて心から労わって
祈りの言葉を唱えよう
未来もやがて 現在となり
過去となって役目を終わるのだから
私は忘れない
祭壇に飾られた写真
漂う線香の香り
流れる読経の響き
私の過去は 今なくなった
90 8/30
07 12/20 修正
祖父の命日がタイトルになっています。
身内の葬式が初めてだったので、強烈な印象が残っています。
最後は卒中から認知症になって、昔の事しか分からなくなりましたが、
85歳という寿命を全う出来たのではと思っています。
あの頃の自分 25 [詩のようなもの]
地下街の天使達
無関心な人の列と 冷たい視線を気にしなければ
ここはとても快適な所
自分の事だけ考えていればいいのさ
だって 働いて金を稼がなくても
最低の生活は出来るんだから
家庭のいざこざに耐え切れなくて
競争社会について行けずに
この世の中が見え過ぎてしまって
行き場所を失った 哀れな天使達
ダンボールの布団に新聞紙の毛布
吸殻くわえて販売機の下を小銭探し
ここには全てが有り余っているんだよ
ポリバケツを開ければ一流の料理
空缶あさればビールや日本酒って具合に
巨大な光が渦巻く大都会の底で
ひたすら貝の様に口を閉ざす天使達
ズタズタの心を引きずりながら
迷路の地下街を いつまでも漂っている
今日のプロ野球の勝敗から リトアニアの政治問題まで
この世の事なら何でも知っている
お気に入りの古着は汚れて臭いけど
時間に追われて電車に押し込まれたり
些細な事で殺し合うよりはマシだよ
純粋で 繊細で とても賢い天使達
死ぬまで人いきれに焼かれてる
今日も数え切れない人の流れの中で
その虚ろな瞳に明日を写している
90 8/31 92 12/16 修正
東京に出てきてビックリしたのは、電車のドアが早く締まる事、
人がいっぱいいる事、そして地下街で生活している人であった。
今でも年に1~2回ほど新宿駅に降り立つのだが、
当時より少なくなったとはいえ、お目にかかる時がある。
私も人の流れに混じって、彼らの前を無関心に通り過ぎていた時期が
あったのだなぁと、思ったりする。 良くも悪くも、日本は平和なのだ・・・
あの頃の自分 24 [詩のようなもの]
愚か者の明日
昔 気が優しくてお人好しだった私は
ある人にこう言われた
「もっと激しくならなくちゃ、世間は渡れないよ。」
そういうものかなと 私は思った
数年後 私は表向きには激しくなっていた
人には隙を見せないように務めた
「あの子は優しかったけど、最近キツクなったね。」
大人になったんだな・・・ 私はそう思った
そんなある日 私は一つの格言を目にした
心が淋しくなった
「人の批判をする前に 自分を磨け」
今迄が間違っていた事に 私はようやく気づいた
89 11/27
まあ、若気の至りってヤツです。
ちょっと自信が付いてくると、
のぼせ上がって天狗なっちゃうんですね。
この時点で気がついて良かったです。
でなければ、今頃どうなっていたか・・・(汗
あの頃の自分 23 [詩のようなもの]
レイニィ ナイト
悲しい事を思い出させる
今夜の雨の雫
いつまで立ち尽くすつもり?
それとも泣いてるの?
飾り付けた君の心を
今夜の雨は流してくれる
いつまでも気にするなよ
あんなヤツの事は
レイニィ ナイト
言葉より 君の瞳の方が好きだ
いつまでも僕を見つめていてくれ
本当に君を愛している人を
今夜の雨は教えてくれる
思い出が一つ増えただけだ
ただ それだけの事
君の流した涙は いつかは報われる
傷ついた心は 誰かが癒してくれる
雨上がりは晴れるもの
それほど長い時間じゃないさ
レイニィ ナイト
気まぐれな少女はもう止めよう
いつだって 僕は君の側にいる
86 12/11
88 9/5 修正
私の数少ないタイプのもので御座います。
いや~~今読み返しても、顔から火が出そうだなぁ・・・
こんな事を考えていた若き時代が懐かしいような怖いような。(汗
あの頃の自分 22 [詩のようなもの]
函館山にて
ギラギラと暑苦しい函館の夜景を
僕は何となく見下ろしていた
周りの人が口々に
綺麗だ 凄い とか言いながら
街の光を絶賛していた
柔らかな風に合わせる様に
夜景は微妙に揺れていた
あの光の中で 人々が集い
生きる為に自分の光を燈している
確かに色々な人生があの中で生まれ
様々な道を辿って死んでゆく
憧れも チャンスも あの中に埋まっている・・・
僕はあまり好きになれずに 右側の黒い海に浮かぶ
10個ほどの光の点に目を向けていた
イカ釣り船の灯りは 夜景とは対照的に
慎ましやかで でもひとつひとつが力強く 暖かく見えた
僕はこっちの方が好きだ
光の中の一点よりも 自ら光を放っている方が
きっと ずっと 素晴らしい
いつの間にか僕は土手に腰を下ろして
青白い光の点が浮かぶ黒い海を じっと見つめていた
どの位経ったのだろうか
得体の知れない感情に浸っていた僕は
友人の声に我に返った
集合の時間が来たらしい
何時までの眺めていたかったが そうもいかない
僕はまた 一緒に登ってきた人達と共に
暑苦しい光の中へと戻っていった
89 3/16
07 7/14 修正
「感想文」のようになってしまいしましたが、
この形が一番分かりやすいかと思い、作り込まないようにしました。
21,2歳の頃、友達と北海道旅行で行った函館山の印象を、
後に書いたものです。 まだ目標とか夢を見つけられない頃で、
なんでも斜めに見ていたんだな~と、今の自分は苦笑いしてます。
-追記-
お盆の為、15日までお休みいたします。
皆さん、16日にまたお会いいたしましょう。(笑